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竹竿作りの技術として−2−
2004/4/12
さて、切り組みであるが、これは、一定の目的の為の設計だから、作る方には完成時のイメージがある。完成予想図を竿の調子を考えて切り組むが、完成したときそのイメージに合わないことが多い。有名な竿師と我が師匠と三人で飲んだとき、竿師にそんなことを言い、切り組みの段階で完成時の竿の調子が判る為にはどうすれば良いかと尋ねたことがある。素人はそんなことが判らないのかという顔をされた。つまり、そんなことは教えて分かるようなものではないということである。そのとき、継ぎの部分は、胴の部分より、しっかり火を入れろと言われた。
また、すげ口部分は、丸くする為、直径小〜大まで穴を20〜30個穴をあけた5〜6p厚の固い木の枝の穴に差し込んで矯めるのであるが、それは、その部分の繊維をねじらせることになり、良くないと言われた。
その竿師のやり方を教えてくれたが、やってはみたがうまくできない。

江戸和竿は、海では江戸湾における船釣り用の竿が基本と思われる。
だから、長さは1.5〜3mくらい、継ぎは2本か3本継ぎである。継ぎなしもある。
磯竿は、長さ5m以上は必要なので、これを竹で作ると重くてかなわない。
カーボンロッドの方が、軽くて操作し易い。
しかし、昔は、7m以上もある鮎竿を竹で作り、皆んなそれで釣っていたのである。
その手許の直径は、5〜6pくらいの竹(淡竹)である。その竿をあやつることは技術を要し、重労働でもあろう。
船竿の基本的切り組みは、手許に淡竹(または布袋竹)を使い、これに並み継ぎで別の竹、(矢竹、布袋等、対象魚によって異なり、又は、好みによって、すんなりとした形を求めるなら矢竹にしたりする)を接着する。
2本継ぎなら、その先が穂先である。穂先は主として布袋竹を使う。
浦島太郎が持っていたあの竿の竹である。この竹が、釣り竿には最も適している。竿に使用される竹は10種類くらいあるが、主として、布袋、淡竹、矢竹の三種が使われる。
布袋は、手許から穂先まで、どの部分でも使われるが、淡竹は手許、矢竹は中間部分に使う。



上図の長さは2m前後で、少々テーパーが強いが、それ故に丈夫である。
手許にリールシートをつけ、穂先までガイドをつける。
船竿は、こんな切り組みが基本と思われる。
あとは、中に1本足して、長くして、強い引きをかわし、且つ引き味を楽しむ為の応用も自由である。

切り組みは、たとえば、上図のような竿(船の中・小物用)を作ろうと考え、手許の竹の中から選別する。
継ぎ方には「並み継ぎ」と「インロー継ぎ」があり、どっちの継ぎ方にするかで、選ぶ竹の径が異なる。



上図のように、並み継ぎでは、差し込む竹はすげ口より径が小さくなければいけないが、インロー継ぎでは、両方の径は同じでなければ格好が悪くなる。
並み継ぎの方が強度があり、竿全体にテーパーがつくので、竿の重心が手許近くにあって、振り易い。
インロー継ぎは、それ程の強度を要求されない細身の竿には適している。
但し、強度と長さを要求される石鯛竿も、長さの為に4本継ぎ(正確には3本半、東作流)のうち、1本はインロー継ぎである。

目的の竹を選別したら、それぞれを矯めて、設計どおりに切る。そして、それらを組むので切り組みというのだろう。
蛇足ながら、和竿作りの世界はメートル法ではなく尺貫法である。尺の物差しは販売してはいけないようであるが、不肖私は持っている。

次に組む、つまり、継ぐ。
その前にやらねばならないこととして、継ぎ部分は、内側をけずるので、外径に絹糸を巻きうるしで固めるが、絹糸を巻く前に、その部分の竹の表皮をとる。これをキシヤギという。すなわち、絹糸と竹をうるしをかけたとき密着させる為である。竹の表皮はツルツルしているから、キシャイで巻かないと、密着しない。
糸を巻いて、内側を削らないと割れることが多いのでそうするが、すると、巻いた糸がほどけてくるので、セジメをしてから工作にかかった方が良い。
セジメとは、巻いた糸に下地うるしをたっぷりと塗り、ふきとって、これをムロに入れうるしを乾わかす。うるしは乾わくのではなく、空気中の水分と化学反応して固まるので、湿気を十分保たせたムロ(室)に入れ、暖かい日は一日くらいして固まる。温度が高いと固まるのが早い。冬などは二日はかかる。
ここで、作業は一旦中止となる。



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