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弁護士の随筆
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竹の竿というもの−2−
2004/3/5
魚を釣る為には、その魚種によって、竿は、それぞれ異なるものでなければ、釣りの文化としては未熟であるということを、和竿作りによって教えられた。20代のころは、オリンピックの投げ竿1本で何でも釣ろうとしていた。それも楽しかったが、それよりも釣り文化として進んでいた世界が江戸時代からあったんだということが和竿作りによって分かった。
釣りを少し深く思う人は、ウオルトンの「釣魚大全」という著作を知っているが、我が日本にも、その頃(江戸時代)にウオルトンに劣らぬ先輩が居たのである。旗本、ナントカのウネメである。彼は、江戸湾の釣りを完全に把握していたようである。鈎も自分で作り、漁探もないのに、船頭に、あそこへ行けと言い、どこはどんなときに釣れるということを知り、その一部を書にした。
そのころに、江戸和竿は、需要があり、職人がニーズに応じられる竿を作りはじめたのだろう。
職漁師は現在でも竿は使わない。竿を使うということは、趣味的に釣り味を感じたいからである。それが、釣り文化であり、職漁師と異なる点である。職漁師は、生活がかかっているから、船で竿を使うより、そのまま、真下におろすという合理的な釣り方をする。
リールを巻くより、手でたぐる方が早い。また、竿という、手の延長から魚の当たりをとるよりも、じかに当たりをとる方が直接的であり、反応し易い。

和竿は、日本の釣り文化であり、世界に誇れるタックルである。私の知る限り、竹を、釣り竿としてそこまで完成させた技術・文化はよその世界にはない。
そもそも、竹はヨーロッパ・アメリカには無いからだろう。ただ、フライロッドの最高級品はイギリスにある。フライはヨーロッパの釣り技だが、ロッドの素材はアジア(ベトナム、中国)にしかない。それを輸入し、技術的に完成させ、1本100万円もするものを作り出したのも、ヨーロッパの釣り文化である。

釣りと、そのタックルである竿は、釣り文化を作って来た。
今、各釣具メーカーが、各対象魚による竿を作り、その種類は多く、ひとえにメーカーの売上げに資する感があるが、今から300年前の、趣味の世界における釣りもそうであった。釣る魚によって、竿は、それぞれ違ったのである。それが、江戸和竿の世界である。グラスロッド、カーボンロッドは、竹の竿の性能に近づくよう追いかけて来たのである。目標は竹竿だったのである。今や、カーボンロッドは竹竿を超えた感があるが、人間が造った物は、自然の素材には及ばない。
グラス、カーボンは竹よりも強いし、軽い。機能的に優れている点が多々ある。
だけど、釣り、という人間の文化的世界では、機能だけではなく、味というものがより価値的なものではなかろうかと思う。


少々横道にそれたが、これから、竹竿作りそれ自体のことを書こう。書く程の者ではないが、素人として10年以上やって来た、そのプロセスと、思いを書くのも許されるだろうから。



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