強制執行は権利を実現するための最終的方法であり、債務名義(執行力ある判決、和解調書、調停調書、公正証書正本等)にもとづき行われるものです。(自力救済の禁止)
権利の実現ですから、権利の目的によって執行の態様が異なります。
@金銭債権
A物(人を含む)の引渡
B作為・不作為の請求(建物撤去、工事禁止など)
C意思表示の擬制
【金銭債権】
債務者の資産を差押えて、競売をして換価し債権者に配当します。資産の主なものは、不動産、動産(車を含む)債権です。物は競売して換価した上で債権者に配当しますが、債権は、これをし払う義務のある者(第三債務者といいます)から直接債権者に支払わせることになります。差押債権者が数名いるときは、供託させて、その供託金を裁判所が各債権者に配当します。
【物・人の引渡】
物の引渡については執行官が現場に出向き、債務者がいればこれを立ち会わせ(いない場合は証人を立ち会わせ)債権者に現実に引き渡します。
人の引渡については微妙な問題があり、首に紐をつけてというわけにはいきません。人権尊重という理念を無視できないからです。物事の判断能力に乏しい乳幼児や心神喪失状態にある人ならともかく、本人の正常な意思に反して引渡を強制することは出来ません。
【作為・不作為】
ある行動をしなくてはならない義務を作為義務といいますが、例えば、建物を取り壊して土地を明け渡さなければならない人が、この義務を履行しない場合には債権者の申立により執行官が指揮して、建物を取り壊し、土地を明け渡すという強制執行をすることができます。これに対して、ある行動をしてはならないという義務を不作為義務といいます。例えば、騒音を出してはならないという義務などです。行動をしないことを強制させることは、代わりにすることもできませんし現実に見張っているわけにもいかないので、この様な義務を強制するには違反行為があったら違約金を徴収するという方法が採られます。
【意思表示の擬制】
例えば、土地の登記をするには売主と買主が共同で申請(意思表示)を登記所にしなくてはなりません。ところが土地を買い、代金も払ったのに(あるいはその他の事情で)売主が所有権移転の登記をしてくれない場合があります。その場合、買主は訴訟を提起し「被告は原告に対し別紙目録の不動産につき、○○年○月○日売買を原因とする所有権移転登記を為せ」との判決を得ます。こうすると、判決謄本を添付して申請することで、買主(原告)は単独で所有権移転登記をしてもらうことが出来るのです。このように、判決による意思表示の擬制とは、意思表示(法律行為)を為すべき義務があるのに、これをしない者に対し判決によってこれをしたものとみなすと言うことなのです。
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